では、なぜ一般道の右側車線を走り続ける行為が、高速道路のように日常的に取り締まられないのでしょうか。そこには、一般道特有の交通構造と例外規定が深く関係しています。
道路交通法第20条第3項では、右側の車両通行帯を通行できる例外として以下の状況を認めています。
・道路の右側にある施設や交差点に向けて右折するためにあらかじめ中央に寄る場合
・道路標示によって進行方向が指定されている場合
・道路の損壊、工事、路上駐車などの障害物を避けるためにやむを得ない場合
高速道路には信号交差点も店舗への右折進入路も存在しません。そのため、前方に追越対象の車両がいないにもかかわらず右側車線を走り続ければ、客観的に「通行帯違反(約1.5km〜2kmの継続走行が摘発基準とされる)」が明白に成立します。
対照的に、一般道では数百メートルおきに交差点や側道、沿道店舗が存在します。警察官が右側車線を走る車両を停止させて「なぜ右側を走っていたのか」と問いただしたとしても、ドライバーが「1km先の交差点を右折する準備をしていた」「路上駐車のトラックを避けていた」と主張した場合、警察側が故意の通行帯違反であることを反証するのが極めて困難です。
交通機動隊の元幹部は取材に対し、「一般道における車両通行帯違反の適用は、暴走族の蛇行運転や悪質な並走など極端なケースを除き、単に右車線を巡航しているだけで切符を切ることは実務上ほぼ不可能に近い」と語っています。法的には義務違反の側面を持ちつつも、立証の難しさと道路環境の複雑さから、一般道での取り締まり実態としては不問に付されているのが現実です。