アルバム『未完成』のクレジットを開くと、今では考えられないほど贅沢な顔ぶれが並んでいます。アルバムの総合プロデュース的な役割を担い、全10曲の作詞を手掛けたのは松本隆でした。
松本隆が紡ぎ出す繊細で文学的な世界観に対し、メロディを提供したのは当時の音楽シーンの主役たちです。日本の女性シンガーソングライターの「御三家」とも呼ぶべき中島みゆき、呉田軽穂(松任谷由実)、竹内まりやの3人が一枚のオリジナルアルバムに揃い踏みした事実は、音楽界の奇跡と称されています。
さらに大貫妙子、井上陽水、筒美京平、来生たかお、NOBODY、辻畑鉄也という、名メロディメーカーたちが惜しみなく極上の旋律を提供しました。映画女優として唯一無二の存在感を放っていた薬師丸ひろ子だからこそ、当代きってのクリエイター陣が「彼女に歌わせたい究極のメロディ」を持ち寄ったのです。