防衛と外交。車の両輪でありながら、時に激しく対立してきた二つの領域を同じ目線で語れる政治家は決して多くない。岩屋氏が外相に起用された際、まず霞が関を走ったのは「防衛省の論理を知る人物が外務省を率いる」ことへの驚きと期待だった。
安全保障の実務に精通したプラグマティスト。これが官僚層の持つ基本的な人物像だ。NHK NEWS WEBなどの政治報道でも度々報じられてきた通り、現場の自衛官や防衛官僚からの信頼は厚かった。抑止力の限界を肌で知るからこそ、外交による対話と合意形成を極限まで重んじる。このバランス感覚を「したたかなリアリズム」と評価する向きは外務省内にも少なくない。
だが、その姿勢は時に「弱腰」や「優柔不断」という痛烈な批判に反転する。周辺国との摩擦を極力避けようとする配慮が、対外的なメッセージの弱さとして受け取られてしまう危うさを常に孕んでいる。