金物と鍛造の町として数百年の歴史を誇る新潟県燕三条。この地から世界に向けて羽ばたいた株式会社スノーピークと、ECを核に熱狂的なファンを掴む株式会社山谷産業。一見するとライバル関係にも見えるこの2社だが、その根底には燕三条という地域全体を活気づける共鳴関係がある。金属加工技術の粋を集めたギアの開発史から、2026年に本格化した地域創生事業における連携まで、二者の歩みは常にリンクしてきた。
かつてのアウトドア業界において、テントやタープを固定するペグは「おまけ」のような扱いだった。プラスチック製や細いアルミ製のペグは、石の多い河原や硬い土の上では簡単に曲がり、キャンパーたちを苦しめていた。その常識を根底から覆したのが、燕三条の鍛造技術である。鍛造とは金属を熱して叩き、内部の空隙を潰しながら強度を高める伝統技法だ。自動車部品や作業工具に使われていたこの技術をキャンプギアへと転用したことが、世界規模のイノベーションの始まりとなった。