平成のバラエティ番組を語るうえで、食レポの二大巨頭の存在を外すことはできない。彦摩呂が緻密な言語化と比喩で攻め立てる「知性派の技巧」だとすれば、石塚英彦が放つ「まいうー」は、肉体そのものが放つ多幸感と直感の極致だった。テレビ東京系『元祖!でぶや』などで見せた石塚の屈託のない笑顔と圧倒的な説得力は、言葉を削ぎ落とした純粋な快楽として日本中を虜にした。
言語の彦摩呂、表情の石塚。この二人が並び立ったことで、グルメ番組は全盛期を迎える。制作者たちはこぞって彼らの背中を追い、リポーターには独自の決め台詞とキャラクター性が求められるようになった。味覚という主観的で伝わりにくい感覚を、いかに茶の間へ届けるか――二人の怪物が繰り広げた無言のデッドヒートが、日本のテレビ演出の解像度を極限まで押し上げたのは紛れもない事実である。