吉川文学の遺伝子は、時代を超えて新たなクリエイターたちによって継承され、アップデートされてきた。井上雄彦による大ヒット漫画『バガボンド』は、武蔵の苦悩や生の探求を圧倒的な画力と心理描写で描き出し、世界中にファンを広げた。ここでは小次郎も耳が聞こえない天才剣士として再解釈され、従来の悪役像を完全に払拭する感動的なキャラクターとして描かれている。
映像の世界でも、2003年に放送されたNHKの大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」をはじめ、数多の映像作品が二人の対決を時代ごとの視点から提示してきた。時代劇という枠組みの中で、武蔵と小次郎は常にその時代の人間像や価値観を反映する鏡であり続けている。