かつては裏社会の権威であった刺青ですが、法改正と社会通念の厳罰化によって、その立場は一変しました。2011年までに全国すべての都道府県で施行された「暴力団排除条例(暴排条例)」および警察当局による壊滅作戦が、刺青を持つ者の生活基盤を根底から解体したためです。
現在、刺青を露出させた状態での社会生活には以下のような厳しい制約が科されています。
- 公衆浴場・温泉・宿泊施設の入場拒否:民間施設の施設管理権約款に基づき、刺青・タトゥー露出者の利用は原則拒否されます。最高裁判所の判例でも施設側の拒絶権が広く認められており、トラブル時に強引に入浴を試みた場合は建造物侵入罪等で即座に摘発されます。
- 金融機関口座の開設不可・凍結:暴排条項に基づき、反社会的勢力と認定された個人の口座開設は完全に遮断され、既存口座も強制解約の対象となります。
- 不動産賃貸・購入契約の破棄:賃貸住宅の契約条項に反社排除が盛り込まれており、刺青の発覚が契機となって退去を求められる事例が日常化しています。
- 生命保険・クレジットカードの利用停止:民間のあらゆる信用取引から締め出され、事実上の「経済的市民権の剥奪」状態に置かれます。
公衆浴場やプールにおける入場制限については、インバウンド観光客の増加に伴い「タトゥーカバーシールを貼れば可」とする温浴施設も一部で登場しています。しかし、背中一面や腕全体に広がった大規模な和彫りは隠蔽が物理的に不可能であり、一般社会からの完全な分断を突きつけられています。