ネット上の情報掲示板では「さかのぼり申請ができるのだから、卒業する直前まで放置しておけばいい」といった無責任な言説が見受けられます。しかし、ここには人生を左右しかねない致命的な落とし穴が潜んでいます。
それが障害基礎年金への影響です。国民年金は老後のためだけの制度ではありません。交通事故や重い病気、精神疾患などで一定の障害を負った際、現役世代であっても手厚い年金(1級で年間100万円超、2級で80万円超+子の加算)が生涯にわたって支給されます。
障害基礎年金を受け取るための大前提は、「病気やケガで初めて医師の診療を受けた日(初診日)」の前日時点で、保険料納付要件を満たしていることです。具体的には、初診日の前日において、以下のいずれかを満たしていなければなりません。
- 初診日の前々月までの加入期間のうち、納付済または免除・猶予された期間が3分の2以上あること
- 直近1年間に未納期間がないこと(初診日が65歳未満の場合の特例要件)
もし未納のまま放置している期間中に交通事故に遭い、後遺障害が残ってしまった場合、事故の後に慌ててさかのぼり申請を行っても、法律上は障害年金の受給資格を得ることができません。初診日の前日までに特例申請書が受理されていなければ、救済されないのです。これこそが、制度上「さかのぼれる」としても放置してはならない申請遅れのデメリットの本質です。
さらに、追納のメリットと期間にも期限が存在します。学生納付特例が承認された期間の保険料は、過去10年以内であれば後から納める(追納する)ことができます。追納を行えば将来受け取る老齢年金額を満額に近づけることができ、納めた保険料全額がその年の「社会保険料控除」となるため、社会人になってからの所得税・住民税を大幅に抑えられます。ただし、承認を受けてから3年度目以降に追納する場合、当時の保険料額に「加算額」と呼ばれるペナルティ的な利息が上乗せされる仕組みになっています。