2006年の鮮烈なデビュー以降、ヒットチャートを駆け抜けた絢香。しかし、その輝かしい活躍の陰で、彼女の体躯は悲鳴を上げていた。過密なスケジュールと重なる体調不良。2009年4月、当時所属していた大手芸能事務所「研音」において、俳優の水嶋ヒロとの結婚発表と同時に明かされたのが、甲状腺機能亢進症の一種であるバセドウ病の患いだった。
日本甲状腺学会などの専門機関によると、バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患であり、頻脈、発汗、全身の強い倦怠感、精神的な不安感などが主な症状とされる。歌手にとって「息が上がる」「動悸が激しくなる」という状態は、ステージでのパフォーマンスにおいて致命的な障害となり得る。絢香は同年末の「NHK紅白歌合戦」を最後に、音楽活動を無期限で休止する道を選んだ。栄光の絶頂でマイクを置く選択は、音楽業界に大きな衝撃を与えた。