2017年2月12日、突如として報じられた清水富美加の「出家」は、芸能界のみならず社会全体に強烈な激震を走らせました。当時、NHK連続テレビ小説『まれ』でヒロインの親友役を好演し、映画『東京喰種 トーキョーグール』の公開や多数のレギュラー番組を抱えていた売れっ子女優が、すべての仕事を一方的にキャンセルして宗教法人「幸福の科学」へ専従するという前代未聞の事態だったためです。
騒動の渦中に発表された出家理由として、教団側および本人は「人肉を食べる役柄など、良心や教義に反する仕事への強い精神的苦痛」や「初期の月給5万円時代をはじめとする過酷な労働環境」を主張しました。一方で、当時の所属事務所「レプロエンタテインメント」側は、仕事の選定は本人の合意のもとで行われ、十分な待遇改善も進めていたと反論。双方の主張は真っ向から対立し、連日メディアで泥沼の舌戦が繰り広げられることになります。
出家発表からわずか5日後の2月17日には、千眼美子名義で緊急出版された告白本『全部、言っちゃうね。 本名・清水富美加、今日、出家しまする。』が店頭に並びました。この書籍では、過呼吸や自殺未遂を経験した極限状態のメンタルや、事務所に対する不信感、そして自らの精神的支柱であった信仰への帰依が赤裸々に綴られています。幼少期から両親の影響で教義に親しんでいた「宗教二世」としての葛藤が、華やかな芸能界の重圧と衝突した末の爆発だったといえます。