俳優としての新井浩文は、間違いなく唯一無二の才能を持っていた。2002年の映画『青い春』で鮮烈な印象を残して以降、彼の醸し出す独特のアンニュイさと危うさは、多くの映画監督を惹きつけてやまなかった。
骨太なヒューマンドラマから緊迫感あふれるクライムサスペンスまで、どのようなジャンルにおいても作品のリアリティを底上げする稀有なバイプレイヤーとして重宝された。主演から脇役までこなすその演技力は、同世代の役者の中でも頭ひとつ抜けていたと言っていい。
しかし、そのキャリアは突如として瓦解する。逮捕によって公開延期などの大きな混乱を招いた映画『台風家族』は、皮肉にも彼の卓越した演技力と、それがもたらした社会的代償の大きさを同時に浮き彫りにする作品となってしまった。