中国山地の山あいに位置する島根県邑南町中野。静けさに包まれたその場所に、トリコンの本社工場はある。従業員数は約28名。数字だけを見れば小規模な地方工場に過ぎない。しかし、ここから出荷される製品の信頼性は、日本全国の交通ネットワークの安全を支えている。
大量生産型の海外製LEDとトリコンの製品を分かつものは何か。それは徹底した品質管理と、樹脂封止技術の精度だ。LED素子を保護するエポキシ樹脂の注入過程において、微小な気泡混入や硬化時のひずみは発光性能の低下や光軸のズレを引き起こす。トリコンでは長年培われたノウハウと目利きにより、欠陥を極限まで排除している。
「大量に作って捨てる製品ではない。信号機に使われる1個のLEDが切れることは、道路上の生命を守る灯火が1つ消えることを意味する」
この現場の美学が、徹底したトレーサビリティと厳格なスクリーニング検査を支えている。過酷な環境を想定したヒートショック試験や長時間の通電テストをクリアした個体だけが、工場から出荷されていく。