越前漆器、越前和紙、越前打刃物、和紙織物。福井が世界に誇る手仕事の伝統工芸品が今、欧米のハイエンド市場で異例のヒットを記録している。
背景にあるのは、若手職人たちによる構造改革だ。従来の分業制を守りつつも、デザインやマーケティングにおいてはパリやニューヨークのクリエイターとダイレクトに提携。例えば、越前打刃物の製法で作られたシェフナイフは、欧州の星付きレストランのシェフたちから「芸術品のような切れ味」と絶賛され、数か月待ちの予約が続く。
さらに、持続可能性(サステナビリティ)を重視する欧米の消費トレンドにも合致した。天然素材のみを使用し、修繕しながら何十年も使い続けられる伝統工芸の哲学が、洗練されたライフスタイルとして再評価されているのだ。後継者不足に悩んでいた工房にも、近年は国内外から弟子入りを志願する若者が集まり始めている。