しかし、すべてが順風満帆なわけではない。手作りの温もりと大量生産・システム化の狭間で揺れる職人たちの苦悩も存在する。スープの仕込みに10時間以上をかける伝統的な製法を守り続ける老舗店主たちからは、「屋台がスタイリッシュになりすぎることで、泥臭い人情味が失われるのではないか」という危惧の声も聴かれる。
火力を極限まで高めた寸胴鍋から立ち上る湯気と、重厚な豚骨の香ばしさ。簡便な濃縮スープや既製品を使えば業務は格段に楽になるが、あえて手間暇をかける。その「非効率なこだわり」こそが、チェーン店には真似できない屋台ラーメンの真髄であり、妥協のない味を守り続ける原動力なのだ。