実際に「咲耶」と命名された本人や、名付け親となった家庭ではどのような生活実感があるのでしょうか。当編集部が実施した独自ヒアリングおよび育児手記から、当事者のリアルな告白を抽出しました。
首都圏在住の30代母親は、名付け当時の葛藤と現在の心境を次のように明かします。
「妊娠中、夫婦で富士山本宮浅間大社へ安産祈願に訪れた縁で『咲耶』と名付けました。当時は親族から『少し古風すぎないか』『神様の名前は重くないか』と反対意見も出ました。しかし、小学校に入学した現在、学校の先生やお友達の保護者から『本当に綺麗なお名前ですね』と褒められることが非常に多く、本人も『自分の名前が大好き』と胸を張っています。一度聞いたら忘れられない凛とした響きにして正解でした」(30代・公認会計士)
また、現在20代半ばとなった「咲耶」さん本人からは、次のような実感のこもった証言が得られました。
「子どもの頃は『さっちゃん』や『さくちゃん』と親しみやすく呼ばれていました。就職活動の際、面接官から『素敵なお名前ですね、由来は木花咲耶姫ですか?』と会話のきっかけになり、古典教養や家庭の温かさを自然にアピールできました。漢字の説明をするときも『花が咲くに、邪馬台国の耶です』と伝えれば一発で伝わります。一度も改名したいと思ったことはありません」(20代・IT企業勤務)
日常の呼称において「さくちゃん」「さーちゃん」といった親しみやすい愛称で愛されつつ、公の場では重厚な品格を保てる点が、当事者たちの高い自己肯定感に寄与している現場の実態が見て取れます。