小平天然温泉テルメ小川が公式に営業を終了したのは2026年4月10日(日)のことでした。青梅街道と新青梅街道に挟まれた小平市小川町の一角で、四半世紀近くにわたり多摩地域の日帰り温泉文化を牽引してきた同館の撤退は、突発的なものではなく、幾重にも重なった経営課題の帰結でした。
公式発表資料や温浴業界関係者の証言を総合すると、閉館を決定づけた要因は主に以下の3点に集約されます。
第1に、温泉汲み上げポンプやボイラーをはじめとする主要設備の老朽化です。テルメ小川は地下1,000メートル級から良質な源泉を動力揚湯していましたが、開業から20年以上が経過し、配管の腐食や熱交換器の経年劣化が著しく進行していました。これらを全面的に更新・改修するには数億円規模の大規模設備投資が必要であり、中小規模の運営会社にとって極めて重い財務負担となっていました。
第2に、原油・エネルギー価格の世界的な急騰と電気料金の値上げです。天然温泉施設は、源泉の加温・保温・循環ろ過に膨大な重油および電力を消費します。2026年秋以降に加速したエネルギーコストの上昇は、施設の営業利益をダイレクトに圧迫し、採算ラインを大幅に割り込む要因となりました。
第3に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う客足の減少と利用制限です。度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、温浴施設の生命線である飲食フロアやリラクゼーション部門の売上が激減。利用者の生活様式の変化も重なり、かつてのような高稼働率を維持することが困難になっていました。これらの要因が重なり、改修による存続を断念し、惜しまれつつ閉館という苦渋の決断が下されました。