大スターの息子として生まれた者は、往々にして同じ表舞台を目指すか、あるいは重圧から逃れるように芸能の世界から完全に身を引くかの二者択一を迫られがちだ。しかし、小林一路氏が選んだ道はそのどちらでもあり、どちらでもない独自のスタンスだった。
一路氏は若い時期に俳優やタレントとしての活動に触れた時期もあったが、やがてその軸足を「父・小林旭を最も近くで支えるブレーン」へとシフトさせていった。個人事務所のマネジメントやプロデュース業務に関わり、晩年まで精力的にステージに立ち続ける父の活動を黒子として牽引。現在の彼は、表立ったメディア露出こそ極力控えているものの、小林旭の権利関係の管理や音楽・映像アーカイブの監修、さらには実業方面で堅実な手腕を発揮している。
現場を知る芸能関係者はこう語る。「一路さんは決して親の威光を傘に着るタイプではない。むしろ誰よりも礼儀正しく、旭さんの過激とも言えるプロ意識を一番理解し、スタッフとのクッション役を務めていた」。強烈な個性を持つ父と、それを陰で支え抜いた母。その両方の気質を受け継いだ一路氏の存在は、旭氏にとってもっとも信頼の置けるビジネスパートナーであり、唯一無二の理解者であり続けている。