単なるネット上のあだ名に過ぎなかった「ラスボス」が、社会的な認知と熱狂を獲得した契機は2012年から2013年にかけて訪れた大きな転機でした。事務所独立にまつわる一連のトラブルにより、長年出演し続けた紅白歌合戦の連続出場がストップするという芸能生活最大の逆境に直面します。
旧来のマスメディアでの露出が制限される中、小林幸子が選んだ新たな挑戦の場が「ニコニコ動画」でした。2013年9月、「【初音ミク】ぼくとわたしとニコニコ動画を【歌ってみた】」というタイトルで突如動画を投稿。大御所歌手の降臨にネット上は騒然となり、公開からわずか2日で再生回数100万回(ミリオン)を突破する伝説を打ち立てました。
さらに2014年夏の「コミックマーケット86(C86)」へのサークル参加は、サブカルチャー史に残る出来事となりました。大手芸能プロの威光を借りず、自ら「Sachiko Premium」というサークル名で一般ブースにエントリー。真夏の東京ビッグサイトで、汗を流しながら自らミニアルバムを手渡し販売する真摯な姿は、オタク層の心を完全に掴みました。「大御所が若者のカルチャーに上から目線ではなく、敬意を持って降りてきてくれた」という感動が、熱狂的な支持へと変わった瞬間でした。