「面接中に思わず貴社と言ってしまった」「履歴書に御社と書いて提出してしまった」という相談は、キャリア形成の現場で絶えません。実際の採用選考や取引現場において、このミスはどれほど致命的なのでしょうか。
大手転職エージェントや人事コンサルティング機関が実施した採用担当者向けの意識調査によると、「御社と貴社の混同だけで即座に不採用にする」と回答した面接官は全体の5%未満にとどまっています。大半の評価者は「言葉の選び方に少し不慣れな印象は受けるが、本質的なコミュニケーション能力や職務経歴、人柄を最重視する」と回答しています。
中途採用の面接現場に携わる現役人事担当者の手記や採用ドキュメントからは、評価の分かれ目がより浮き彫りになります。
「面接で『貴社の理念に……あ、失礼いたしました、御社の理念に共感し』とすぐに言い直して落ち着きを取り戻せる応募者は、むしろ好印象です。ミスそのものよりも、咄嗟の場面でミスに気づき、客観的に自己修正できる対応力があるかを観察しています」(ITメガベンチャー採用統括)
一方、履歴書や志望理由書といった「時間をかけて推敲できる書面」での間違いは、口頭での失言よりも厳しく評価される傾向があります。提出書類は推敲や校正の機会が十分にあったはずであるため、そこで「御社」と記載されていると「確認不足」「注意散漫」「熱意の欠如」と解釈されやすいのです。書面での「御社」使用は減点リスクを高めるため、提出前のチェック項目に「貴社」の統一を含めることが必須となります。