湘南という言葉がこれほどまでに強い輝きを放つようになった背景には、音楽や文学といったポップカルチャーの貢献が欠かせない。とりわけ茅ヶ崎市出身の桑田佳祐率いるサザンオールスターズの楽曲群は、波音と青春の切なさを全国のリスナーの脳裏に焼き付けた。
桑田佳祐が紡ぎ出した歌詞の数々は、茅ヶ崎や江の島周辺の風景を単なる地方都市から「誰もが憧れるリゾート&カルチャーの聖地」へと引き上げた。海沿いを走る国道134号線、夏の日差し、潮風の香り。音楽を通じて形成されたパブリックイメージは、行政の区分を超えて全国の人々に「湘南=神奈川県の特別な海岸エリア」という認識を強烈に植え付けたのだ。