視界の隅に熊の影を認めたとき、最初の数秒の判断が生死を分かつ。大声をあげて背中を見せ、全力疾走で逃げる行為は最悪の選択肢だ。熊の走力は時速40キロを超え、逃げる獲物を反射的に追尾・攻撃する本能を持つ。絶対に走ってはならない。
熊と目が合っても睨みつけず、視界に相手を捉えながら、静かに後ずさりして距離を取る。障害物となる電柱や車、建物の角を間に挟むのが鉄則だ。もし建物や車内に逃げ込めるなら即座にドアをロックする。万が一、至近距離で突進された場合は、クマ撃退スプレーを鼻先めがけて噴射する。スプレーがない状態で襲撃を受けた際の最終防衛姿勢は、うつ伏せになり、両手で首の後ろを固くガードし、太ももをお腹に引き寄せて内臓と頸動脈を守る「防御姿勢(クラーチポジション)」だ。バックパックを背負っているなら、それが背中を守る盾となる。