父母ヶ浜は「ウユニ塩湖」としての側面が強調される一方で、本来は地元住民にとっての海水浴場であり潮干狩り場である。夏の日中には家族連れが波打ち際で遊び、春から初夏にかけては潮干狩り客で賑わう。絶景スポットというよりも、生活に根ざした里海としての顔が本来の姿だ。
ここに、ネット上で語られる「ウユニ塩湖 香川 真相」というキーワードの本質がある。観光地としての再発見以前、父母ヶ浜は香川県内有数の夕日の名所として地元の写真愛好家には知られていたものの、全国区の知名度はなかった。SNSを起点とした拡散が「観光地化」を一気に推し進めたのであり、これはSNS時代における地方観光の一つの典型例と言える。
また、訪問者側が誤解しがちな点として、「いつ行っても鏡面反射が見られる」という思い込みが挙げられる。潮汐は日によって1時間以上も前後し、夕方の引き潮に合わなければ水面の条件は整わない。しかも、満潮時には潮だまりが消滅し、遠浅の浜がそのまま海面下に沈んでしまう。訪問前には必ず、三豊市公式サイト等で公開されている潮見表の確認が必要だ。
もう一点、現地の混雑マナーをめぐる問題も顕在化している。早朝から場所取りをするカメラマン同士のトラブルや、夕日撮影に熱中するあまり漁業関係者の車両を妨げるケースが報告されている。観光交流局は撮影エリアの明確化や注意看板の設置を進めているが、「映える場所を譲らない」ことによる諍いがSNS上で度々炎上しているのも事実だ。