県民の間で頻繁に交わされる「なぜ歴史ある県立広島病院を統合・移転しなければならないのか」という疑問に対し、行政や医療関係者が挙げる理由は主に3つの構造的課題に集約されます。
第1に、医療従事者の確保と診療科の集約です。少子高齢化の進展に伴い、医師・看護師の確保は年々厳しさを増しています。中途半端な規模の総合病院が複数乱立した状態では、当直体制や専門医の配置が分散し、現場の過重労働や救急受け入れの制限(いわゆる救急搬送困難事案)を招きかねません。高度急性期病床を集約することで、24時間365日高水準の救急医療を維持する体制を構築することが最大の狙いです。
第2に、既存施設の老朽化と耐震・設備更新の限界です。県立広島病院の現病棟は建設から長い年月が経過し、最新のロボット手術機器や感染症対応病床、高度なハイブリッド手術室を柔軟に増設するには構造上の物理的限界に直面していました。ゼロから最新スペックで設計される新病院を建設するほうが、長期的な県民負担と医療安全の観点から合理的であると判断されました。
第3に、県内全域をカバーする広域救急・災害医療拠点としての機能強化です。二葉の里への移転により、山陽自動車道や広島高速を活用したドクターカー・救急車によるアクセス時間が大幅に短縮され、中山間地域や島しょ部からの搬送受け入れ効率が飛躍的に向上します。