シリアスなラブストーリーやハードな映画で確固たる地位を築いた夏川結衣は、2000年代以降、コメディや日常系ドラマでもその非凡な才能を開花させます。その決定打となったのが、阿部寛主演の大ヒットドラマ『結婚できない男』(2006年・フジテレビ系)です。
彼女が演じた内科医・早坂夏美は、偏屈な主人公・桑野信介と丁々発止のやり取りを繰り広げる魅力的なヒロインでした。飾らない大人の女性の本音をテンポよく軽妙に演じ、視聴者から絶大な支持を獲得。かつての憂いを帯びた妖艶なイメージから一転、親しみやすくチャーミングな一面を世に知らしめました。
その後も是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』(2008年)や山田洋次監督の『家族はつらいよ』シリーズなど、日本を代表する名匠の作品に次々と起用。大胆な濡れ場で培われた「人間の本質をさらけ出す演技」は、円熟味を増した日常の芝居へと昇華され、作品に深い奥行きを与える名バイプレイヤーとして不動の地位を確立しました。