本作の原点にあるのは、あまりにも強烈な「現実」そのものだ。漫画家・西原理恵子が自身の家庭生活を容赦なくさらけ出した本作は、2002年から毎日新聞社での連載がスタートした。当時の子育て漫画といえば、ほのぼのとした温かい日常を描くのが主流だった。しかし、彼女が突きつけたのは、泥臭く暴れ回る子供たちとの格闘と、アルコール依存症と闘う夫・鴨志田穣との切実な生活だった。
破天荒なギャグの裏には、文字通り命を削るような葛藤が存在していた。西原理恵子が繰り出す一コマ一コマには、飾らない本音が詰め込まれている。「完璧なお母さんなんてどこにもいない」。その開き直りとも言える力強いメッセージは、子育てのプレッシャーに潰されそうになっていた当時の親たちに解放感を与えた。自伝的エッセイ漫画というジャンルにおいて、これほどまでに人間の醜さも美しさも曝け出した作品は他にはないだろう。