魚影は濃い。海中を覗けば無数の魚がコマセに群がっているのが見える。しかし、刺し餌のオキアミだけが見事に残される。見切られているのだ。ここからが腕の見せ所となる。
ウキの浮力を限界まで殺し、波間に漂うゴミと同じ速度で沈降させていくゼロ釣法。針の重さ、チモトに打つガン玉の極小サイズひとつで、仕掛けのなじみ方は激変する。糸フケを出しすぎず、張りすぎず。風の抵抗をラインメンディングで巧みに相殺しながら、海中の潮流の芯へ針を送り届ける。わずか数ミリの違和感を排除した先にだけ、ウキを消し込まずに穂先をかすかに震わせる本命のアタリが待っている。