今回の西武鉄道の運賃値上げ理由について、同社の公式発表や決算説明会資料では、単なる収益確保にとどまらない複数の構造的要因が挙げられています。その最大の柱が、将来にわたる安全運行を担保するための西武鉄道の設備投資計画の推進です。
西武新宿線沿線では、中井〜野方駅間を中心とした連続立体交差事業(地下化・高架化工事)や、中井〜田無・所沢間の主要駅におけるホームドア(可動式ホーム柵)の整備が急ピッチで進められています。これらの大規模工事には数百億円規模の資金が継続して投じられており、少子高齢化やテレワーク定着による乗客数全体の減少基調と相まって、従来の運賃水準のままインフラ更新を維持することが困難になったという背景があります。
さらに、駅設備の段差解消やエレベーター新設・更新を目的とした西武線の鉄道駅バリアフリー料金加算も導入されています。利用者が公平に1乗車あたり数円〜10円程度を負担し、それを原資として全駅の安全設備を拡充する仕組みであり、安全性向上と引き換えに運賃総額が押し上げられる形となっています。