彼女の真骨頂は、作品のトーンに合わせた変幻自在のグラデーションにある。社会現象となった大ヒットテレビドラマ『半沢直樹』で演じた「鉄の手錠」の異名を持つ銀行統括役では、毅然としたプロフェッショナリズムと内に秘めた人間味の葛藤を巧みに表現し、視聴者に強烈な爪痕を残した。
一方で、メガヒットを記録した映画『シン・ゴジラ』では、国家存亡の危機に立ち向かう緊迫した官僚の現場に自然なリアリティを注入。日常の機微を描くヒューマンドラマから大規模エンターテインメントまで、どんな世界観でも「現実にそこに生きている人間」として溶け込む。過剰な演技に頼らない引き算の美学こそ、彼女が日本映画とドラマ界で唯一無二とされる理由だ。