修羅場をくぐり抜けた細木数子は、中国古来の易学、算命学、万有引力などの自然哲学を独自に再編し、1980年代初頭に『六星占術』を世に送り出した。運命星を「水星人」「木星人」などに分類し、周期的な好不調を「大殺界」という明快な概念で提示したこの手法は、当時の占い業界に激震を走らせる。それまで一部の好事家のものだった運命鑑定を、圧倒的に分かりやすいエンターテインメントかつ人生の指針として大衆化させたのだ。
自著の出版を機に、彼女の書籍は毎年のようにミリオンセラーを記録。書店には特設コーナーが組まれ、発行部数は累計で1億部を突破し、ギネス記録にも認定された。従来の鑑定士たちが曖昧な表現でお茶を濁していたのに対し、彼女は白黒をはっきりとつけ、時には痛烈な言葉で現実を突きつける。「運命は変えられないが、過ごし方で災いは減らせる」という実践的な教えは、バブル崩壊後の先行き不透明な日本社会に驚くほど深く突き刺さった。