晩年、彼女が最も心を砕いたのが後継者の問題だった。莫大な影響力を持つ帝国を誰に託すのか。占い業界内外から様々な憶測が飛び交うなか、彼女が選んだのは姪であり、後に養女となった細木かおりだった。
細木かおりは、幼少期から彼女の厳格な指導を受けて育った。単なる血縁関係にとどまらず、占術の真髄から生き方の哲学、礼儀作法に至るまで、徹底的な帝王学を叩き込まれたという。世代交代のプロセスは決して平坦な道ではなかった。偉大すぎる先代の影と対峙し、自らのオリジナリティを確立していく苦悩は想像を絶するものがあったに違いない。
だが、現在の細木かおりは先代の厳格な教えを守りつつも、現代のライフスタイルに寄り添った柔らかなアプローチで新たなファン層を開拓している。時代が変わっても、人間が抱える孤独や不安の本質は変わらない。母から娘へと受け継がれたのは、占術の技法だけでなく、悩める人々の心に寄り添い続けるという揺るぎない覚悟そのものだった。