東京都内の総合病院小児科に勤務する田中医師(仮名)は、15年のキャリアで数千人の乳児を診てきた。彼女の見解は明快だ。
「無添加粉ミルクと通常の粉ミルクで、健康上の差異を示すエビデンスはありません。どちらを選んでも、適切に調乳し授乳すれば問題ない。重要なのは親の不安を軽減することです。無添加を選ぶことで親が安心するなら、それは心理的に意味がある選択です」
臨床統計も彼女の意見を支持する。国立成育医療研究センターが2022-2025年に実施した追跡調査では、無添加粉ミルクを使用した乳児群と通常粉ミルク群の間で、成長曲線・アレルギー発症率・感染症罹患率に有意差は認められなかった。サンプル数は各群1,200名。科学的には「差がない」という結論だ。
アレルギーリスクとの関連性
一部の親は、添加物がアレルギーを引き起こすと懸念する。しかし日本小児アレルギー学会の見解では、乳児期のアレルギーの主要原因は牛乳タンパク質そのものであり、微量の添加物ではない。
実際、無添加製品でも牛乳タンパク質は含まれる。アレルギー対策が必要な乳児には、加水分解タンパク質を使用した専用ミルクが推奨される。「無添加」という表示に惑わされず、医師の指導に従うべきだ。