現場で最も切実な問題が、無期雇用契約社員の給料やボーナスの支給水準です。労働契約法第18条の規定では、別段の定めがない限り「直前の有期契約と同一の労働条件」が引き継がれることになっています。つまり、昇給規定がなければ何年働いても時給や月給は上がらず、ボーナスも寸志程度か不支給のままという就業規則が法的に通用してしまいます。
さらに深刻なのが契約社員から無期雇用になった際の退職金の有無です。多くの企業において、退職金規程の適用対象は「正社員(無期総合職)」に限定されており、無期雇用契約社員は対象外とされています。「定年まで安心して働ける」と考えて転換したものの、退職時の積立金が一切なく、老後資金の設計で致命的な誤算を抱えるケースは珍しくありません。
「同一労働同一賃金」の原則に基づき、不合理な待遇差は是正されつつあるものの、業務内容や責任の重さにわずかでも差異があれば基本給や手当の差が適法と判断される傾向にあります。無期転換後の年収シミュレーションを事前に行わずに手続きを進めることは、大きな金銭的リスクを伴います。