1894年、クーベルタン男爵の手によってパリで設立された国際オリンピック委員会。しかし、初期の大会ではまだ公式なシンボル旗は存在しなかった。理念を可視化し、世界中のアスリートを一つに束ねるシンボルが必要だと彼が痛感した背景には、当時の国際情勢の緊張があった。
1914年、パリで開催されたオリンピック復興20周年記念会議において、クーベルタンは自ら描いた手書きのデザイン案を提示した。彼が目指したのは、国境や人種、政治的対立を乗り越え、スポーツを通じた世界平和を実現すること。五大州の人々が集い、正々堂々と競い合う場を作るという固い誓いが、あの5つの交差する輪に込められたのだ。