プリント工場に寄せられるトラブル相談の中で、全体の約7割を占めるのが「納品されたTシャツのプリントが粗くボケている」「思っていた位置や大きさと違う」という仕上がりギャップです。この失敗の元凶は、デジタル画面と印刷実寸の乖離にあります。
Webブラウザやスマートフォンの画面表示は通常72〜96dpiの解像度で最適化されていますが、布地に高精細な印刷を行うためにはTシャツプリント解像度として300dpi〜350dpi(原寸サイズ)が絶対条件となります。例えば、胸元に横20cmのイラストを印刷したい場合、画像サイズは横幅約2,400ピクセル以上が必要です。Web検索で拾った小さなPNG画像を無理やり拡大して入稿すると、ジャギー(ギザギザ)や深刻なノイズが発生し、製品として成り立たなくなります。
さらに、平面のデザインデータを実際の衣類にはめ込んで確認するTシャツモックアップ素材の活用法にも盲点が存在します。モックアップ上で中央に美しく見えていても、実際に人間が着用すると胸の起伏や体型によってイラストが歪んだり、意図したよりも低い位置(腹部寄り)に見えてしまったりすることが多々あります。プロのデザイナーは、首リブの下から指3〜4本分(約5〜7cm)下げた位置を基準とし、着用時の視覚的重心を緻密に計算して版を配置しています。