ネット上の口コミやSNSでは「武道館の2階スタンドは遠すぎて何も見えない」「武道館は古いから音が悪い」といった極端な意見が見受けられますが、これらには現場の音響設計や空間認知を踏まえた正しい検証が必要です。
第一に、「遠すぎて見えない」という誤解についてです。アリーナツアーで多用される横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)と比較すると、武道館の2階最後列からステージまでの直線距離(約50〜60m)は、大型アリーナの中間列〜後方列と同等です。巨大施設の後方席(100m超)に比べれば、武道館は「2階最後列であっても極めてコンパクトにまとまっている」というのが空間構造上の客観的事実です。
第二に、音響面での盲点です。武道館は元々武道場として建設されたため、天井のドーム形状によって特定の定在波や反響が起きやすい構造でした。しかし、改修工事を経て最新のラインアレイスピーカーが導入された会場環境では、音の直進性と分散性が大幅に向上しています。ただし、1階スタンド席の最後列付近(2階席の床が頭上にせり出しているエリア)では、上部からの反響音や遮蔽感を感じる場合があるため、音響のダイナミクスを重視する方は中段列付近がベストポジションとなります。
また、2階席最前列(A列)には転落防止用の手すりが設置されています。着席指定公演などの場合、座高によっては手すりの金属バーがステージ中央の視線に重なることがある点も、知っておくべき現場のリアルな注意点です。