韓国のトイレ環境は、ここ数年で劇的な転換期を迎えました。最大の契機となったのは、韓国行政安全部が主導した2018年1月1日施行の「公衆トイレ等に関する法律施行令」の改正です。この法改正により、全国の公衆トイレにおける個室内の大容量ゴミ箱の設置が原則禁止(女性用サニタリーボックスを除く)となり、「使用したトイレットペーパーは便器に直接流す」ことが公的ルールとして義務付けられました。
この施策により、仁川国際空港や金浦国際空港、ソウル市内の地下鉄駅構内、大手百貨店(ロッテ、新世界、現代百貨店など)では、悪臭の原因となっていた大型ゴミ箱が完全に撤去され、日本と変わらない清潔な環境でペーパーを流せるようになっています。
しかし、法改正の対象はあくまで公的な施設や一定規模以上の商業施設に限られます。個人経営の飲食店、レトロな路地裏が人気の聖水洞(ソンスドン)や乙支路(ウルチロ)に残る築30年以上の雑居ビルなどでは、現在も個室に大きなゴミ箱が置かれ、「紙はゴミ箱へ」という張り紙が掲示されているケースが少なくありません。つまり、「大半の公衆施設では流せるが、民間施設や古い建物では依然として流せない場所が併存している」のが2026年現在のリアルな到達点です。