物語の大きな転換点となったのは、やはり炎柱・煉獄杏寿郎の死だろう。無限列車の屋根の上、そして荒野での上弦の参・猗窩座との死闘。圧倒的な力を前にしながらも、彼は一歩も引かなかった。「心を燃やせ」という彼の最期の言葉は、主人公・竈門炭治郎だけでなく、読者の心にも消えない火を灯した。
煉獄の死が特別だったのは、それが「完璧な敗北」でありながら「精神的な完全勝利」だったからだ。己の弱さに打ちひしがれていた炭治郎たちに、彼は身をもって「柱」としての生き様を示した。この死を境に、物語のトーンは一気に引き締まり、読者は「誰もが死に得る」という過酷な現実に直面することになる。