隈建築に対する評価が真っ二つに分かれる本質は、建築を「アート(思想作品)」として捉えるか、「プロダクト(長期的インフラ)」として捉えるかの視点の違いにある。批評家やデザイン界は、歴史的文脈の再解釈や素材感の提示といった思想面を高く評価する。一方、日々その場所を利用し、税金や維持費を支払う市民や管理者にとっては、実用性と耐久性こそが第一義となるからだ。
「木は朽ちるものであり、その変化こそが自然の摂理である」という風雅な美学は、現実のメンテナンス費用という数値の前では時に説得力を欠く。この理念と実用性の隔たりが、熱狂的な称賛と冷ややかな批判という両極端なリアクションを生み出す源泉となっている。