ネット上の言説において極めて多い誤解が、「『天上天下唯我独尊』はお釈迦様が自身を唯一絶対の神だと宣言した言葉である」という解釈です。これは一神教的な絶対神の概念と仏教の思想を混同したことによる致命的な誤りです。
仏教には創造主としての唯一神は存在せず、因果応報と縁起(すべての存在は関係性の中で成り立っているという理)を説きます。したがって、「私だけがこの世界の支配者である」という解釈は仏教の根本教義と真っ向から矛盾します。釈迦が説いたのは「神仏の前での平等」ではなく、「存在そのものが持つ代替不可能性」であり、ここに東洋哲学の精緻な人間観が存在します。