格式ばった懐石料理とは異なり、客と料理人がカウンターを挟んで言葉を交わし、好みに応じて柔軟に酒と肴を合わせる。それが日本の誇る割烹・小料理の醍醐味だ。味処 大森が提供するのは、決して堅苦しい儀礼ではない。肩肘張らずに極上の美味を味わう、豊穣な時間の共有である。
業界内では、世界的なレストラン格付け本である『ミシュランガイド』の調査員が足繁く通っているとの噂も絶えない。だが、評価や名声を求めて店主の所作が変わることはない。「うちはただ、今日来てくれた目の前のお客さんに最高の魚を食わせるだけ」。その無骨なまでの職人気質こそが、多くの人々を惹きつけてやまない最大の引力なのだ。