平成中期からテレビ番組『オーラの泉』などを通じて美輪明宏を知った若い世代の間では、「スピリチュアルな助言者」「黄色い髪の不思議なご意見番」といったイメージが先行しがちでした。しかし、これらは半世紀を超える活動のほんの一側面に過ぎません。
ネット上の掲示板やSNSでは、「神秘的な力で成功した人物」という安易な理解も見受けられますが、実際の美輪明宏を支えてきたのは徹底した読書量、古典演劇の研究、そして過酷な現実を生き抜いた現場感覚です。自ら脚本を書き、演出を手掛け、照明から衣装の色彩設計までミリ単位で指示を出す職人気質の舞台演出家としての顔こそが、業界関係者が畏敬の念を抱く真実の姿です。
2019年の初期脳梗塞発症以降、健康状態を懸念する声もありましたが、驚異的なリハビリを経て現場に復帰。90代を迎えた2026年現在も、声の仕事や独自の人生相談プログラム、平和へのメッセージ発信をマイペースに継続しています。劇場の前線に立ち続ける姿は、長年にわたり舞台を見守ってきた往年のファンのみならず、現代のデジタルネイティブ世代にも「本物のプロフェッショナル」として鮮烈な感銘を与えています。