錆びついた鉄くず同然の状態から、再びエンジンに火を灯し、公道を走らせる――。2026年現在、各地で熱を帯びているのがクラシックバスの動態保存への取り組みだ。なかでも、草分け的存在として知られる福山自動車時計博物館動態保存プロジェクトの現場では、日々壮絶なレストアが繰り広げられている。
「図面もなければ、代替部品も存在しない」。取材に応じたベテラン整備士は苦笑いする。製造から60年以上が経過した車両の部品確保は困難を極め、廃車体からの移植や、金属ブロックからの削り出しという途途もない作業が続く。それでも彼らが情熱を注ぐのは、動く姿を残してこそ真の産業遺産になり得るという信念があるからだ。エンジンがかかった瞬間、作業場に広がる黒煙と重低音は、時空を超えて昭和の空気感を蘇らせる。