中継プラットフォームの多様化により、視聴者の解説に対するリテラシーは劇的に向上しました。とりわけ全64試合を無料生中継したカタール大会でのABEMA解説陣の編成は、スポーツ放送史のターニングポイントとして記録されています。
放送関係者の証言によると、ABEMAは「テレビ的なお約束」を排し、本田圭佑GM(ゼネラルマネージャー)のパーソナリティを最大限に活かす自由なトーク環境を設計しました。実況を務めた寺川俊平アナウンサーとのテンポの良い掛け合い、ピッチサイドの槙野智章氏との軽妙な絡みは、従来の放送にあった「実況が状況を説明し、解説が補足する」という主従関係を解体し、「対話型実況解説」という新ジャンルを生み出しました。
SNSやネット掲示板の書き込み、大手ポータルサイトのコメント欄を検証すると、視聴者からは以下のようなリアルな反応が寄せられています。
「本田さんの解説は、自分たちがピッチに立って焦っているような感覚になる」「内田篤人氏と中村憲剛氏のダブル解説は、サッカーの解像度が何倍にも上がる」「地上波の過剰な演出やタレント頼みのスタジオトークよりも、試合そのものに深く切り込む配信プラットフォームの解説を選びたい」
これらの声が示すのは、単に面白いだけではなく、「事実を正確に伝え、知的好奇心を満たしてくれる解説」への渇望です。テレビの画一的な放送から、好みの解説者を能動的に選択する時代へと視聴者の意識は完全にシフトしています。