マツコ・デラックスが自らの生い立ちを語る時、そこには常に「厳格な父親」と「破天荒な母親」の相反する二つの影が存在する。厳格な規律を重んじ、無口で不器用な生き方を貫いた父親。一方で、型にはまらない大胆さと圧倒的な包容力を併せ持った母親。この対照的な親の存在こそが、彼女の中に渦巻く複雑な感受性を育んだ。
時にぶつかり合い、時に理解し合えないもどかしさを抱えた愛憎劇のような家庭環境。だが、その葛藤こそが、他者の痛みに寄り添いながらも容赦なく本質を突く、あの独特の毒舌スタイルの原動力となった。歪んだ愛であっても、愛は愛。実家での経験が、今の彼女の揺るぎない骨格を作ったのだ。