東京・中野の居酒屋を拠点に結成された「竜兵会」は、日本のお笑い界において特別な磁場を持っていた。不遇の時代を過ごしていた有吉弘行をはじめ、多くの若手芸人たちが彼の温かい人柄と奢りの酒に救われ、這い上がるきっかけを掴んだ場所だ。
後輩たちに対して決して威張らず、むしろ自らの情けなさをさらけ出して笑いに変えていた。有吉弘行は後にラジオなどで師匠への尽きない感謝と愛憎交じりの思慕を語っているが、そこには常に「後輩を立て、自分は最後に道化として笑われる」という徹底した美学があった。しかし、後輩たちが売れっ子になり、多忙を極めるにつれて、集まりの頻度が減っていったこともまた事実だった。後輩の成功を誰よりも喜びながら、ふと訪れる静寂に耐えかねていた背中を、親しい仲間たちは痛いほど感じ取っていた。