彼女の歩みを語る上で外せないのが、表現の幅を飛躍的に広げたジャンルへの越境だ。人間の業や倫理の崩壊を描き出す重厚なダークファンタジー作品で見せた、絶望の底から絞り出すような叫び。あれがひとつの決定打だった。
さらに、緻密な世界観と難解な専門用語が飛び交う本格派サイエンス・フィクションにおいて、知性と感情の揺らぎを同居させた台詞回しは業界内を震撼させた。記号的なキャラクター演技を拒み、ひとりの生身の人間として役を生きる姿勢。その徹底したストイシズムが、彼女のキャリアを不可逆的な高みへと押し上げたのだ。