現代の捜査において、最も客観性が高く偽証が不可能な武器が「デジタル証拠」と「画像解析」です。現場周辺における防犯カメラ映像の手がかりは、行方不明者の足取りを分単位で再構築する「リレー捜査」によって徹底的に洗い出されました。
公共機関のカメラ、沿道のコンビニやコインパーキング、個人宅の防犯カメラ、さらには走行中の自動車のドライブレコーダーに至るまで、回収された映像データは数百時間分に及びます。その解析結果から、対象者が自発的に移動した痕跡がなく、特定の地点を最後に姿を消している事実が浮き彫りとなりました。
さらに、家宅捜索で段ボール箱に詰められて搬出された押収品や証拠品の中核をなすパソコンやスマートフォン、タブレット端末は、サイバー犯罪捜査官および鑑識班による「デジタルフォレンジック(電磁的記録解析)」に回されています。
近年のデジタル鑑識技術は驚異的な進化を遂げており、たとえユーザーが意図的に削除した検索履歴、メッセージアプリのトークログ、位置情報のGPSログ、クラウドストレージへのアクセスログであっても、物理メモリやストレージの深部から高確率で復元されます。「失踪直前にどのようなやり取りがあったのか」「特定の単語(薬品、遺棄場所、偽装工作など)を検索していなかったか」というデータは、言い逃れのできない決定的な物証となるのです。