野崎守という男の最大の魅力は、冷徹な国家権力の執行者でありながら、泥臭い人情味を隠そうとしない点にある。バルカ共和国での死線をくぐる逃亡劇において、仲間を救うために見せた果敢な判断力。そして何より、事あるごとに振る舞われる「赤飯」に象徴されるような、独特の美学と仲間への情愛だ。従来の警察ドラマに描かれがちだった「冷徹で機械的な公安」というステレオタイプを、彼は見事に打ち砕いて見せた。
言葉少なに背中で語る場面もあれば、執拗なまでの追跡で標的を追い詰める執念も見せる。阿部寛の身長190cmを超える圧倒的な体格と、緩急あふれる演技が組み合わさることで、画面から溢れ出るような生命力が生まれた。視聴者は彼の危機に息をのみ、彼の発する一言一言に喝采を送ったのだ。