ナスは本来、熱帯原産の多年草であり、強烈な生命力を持っています。しかし、梅雨明け以降の日本の酷暑環境はナスにとっても過酷を極めます。35度以上の猛暑日が続くと、地温の上昇によって根の吸水能力が低下する一方、葉からの蒸散量は限界まで増加し、株全体の水分・養分バランスが崩壊します。これが夏バテの正体です。
そこで実践されるのが夏バテナスの仕立て直し方法としての更新剪定です。更新剪定とは、伸びすぎた側枝を短く切り詰め、株全体のサイズをコンパクトに仕立て直す作業を指します。では、なぜ枝を切り落とすことで秋ナス収穫量アップの理由に直結するのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
第1に、過剰に茂った葉を減らすことで「蒸散ストレス」を劇的に緩和できる点です。吸水力が落ちた根に対して葉の面積が広すぎると、株は脱水症状を起こします。葉を減らすことで体力の消耗を瞬時に抑えられます。
第2に、老化枝を切り戻すことで休眠芽にオーキシンやサイトカイニンといった植物成長ホルモンが集中的に送り込まれ、若々しい新梢(新しい枝)が一斉に吹き出す点です。
第3に、根切り刺激による吸水・吸肥力の再生です。後述する根切り作業を組み合わせることで、養分吸収が鈍った古い太根が刺激され、ミネラルを貪欲に吸収する新鮮な「白根(細根)」が爆発的に発根します。これらの一連の植物生理的リセットが組み合わさることで、秋口の爆発的な開花と結実が可能になります。