祖師ヶ谷大蔵が「聖地」と呼ばれる背景には、明確な歴史的事実がある。1963年、「特撮の神様」と称された円谷英二氏が自宅近隣の世田谷区砧に設立したのが、株式会社円谷プロダクションの前身である円谷特技プロダクションだった。
世田谷の静かな自然とスタジオ群が隣接するこの環境から、『ウルトラQ』や『ウルトラマン』『ウルトラセブン』といった不朽の名作群が次々と世に送り出された。当時の撮影スタッフや造形師たちが日常的に行き交い、アイデアを語り明かした喫茶店や商店の記憶は、今なお街の古老たちの間で生き生きと語り継がれている。砧スタジオとともに、この街は日本の特撮映像産業の心臓部として機能していたのだ。